最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)58号 判決 1966年11月18日
上告人
宮沢信之
右訴訟代理人
野村千足
被上告人
国際自動車株式会社
右代表者
波多野元二
被上告人
風間貞二
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人野村千足の上告理由1ないし5について。
原審が確定した事実によれば「昭和三四年一月二九日午後一〇時頃、本件事故現場において、被上告会社の被用者(タクシー運転手)である被上告人風間の運転する自動車(タクシー)と上告人の運転する自動車とが衝突事故を起した。右事故は、被上告人風間と上告人の過失によつて惹起されたものであり、これにより右タクシーの乗客増田喜代作は胸部、頭部打撲傷等の傷害を受けた。被上告会社は、増田に対し、右事故による損害を賠償した。」というのである。
右事実関係のもとにおいては、被上告会社と上告人及び被上告人風間らは、増田に対して、各自、増田が蒙つた全損害を賠償する義務を負うものというべきであり、また、右債務の弁済をした被上告会社は、上告人に対し、上告人と被上告人風間との過失の割合にしたがつて定められるべき上告人の負担部分について求償権を行使することができるものと解するのが相当である。したがつて、この点に関する原審の判断は結論において正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は独自の見解であつて採るをえない。
同追加上告理由1ないし4について。
原審が確定した事実関係のもとにおいては、上告人と被上告人風間の過失の割合を八対二とした原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はないから、論旨は採用に値しない。
同追加上告理由5について。
所論の点に関する原審の認定は、これに対応する挙示の証拠によつて是認することができる。また、原審が確定した事実関係に徴すれば、被上告会社所有の本件自動車の損傷が、上告人と被上告人風間の不法行為によるものであるとした原審の判断も、これを首肯することができる。論旨は、ひつきよう、原審が適法にした事実の認定を非難し、あるいは、独自の見解から原判決の違法をいうにすぎないものであつて、採るをえない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)